レポート:第35回東京国際映画祭・映画「夏のトンネル、さよならの出口」トークショーレポート

2022年10月31日、東京・日比谷にあるTOHOシネマズ シャンテにおいて、第35回東京国際映画祭・映画「夏のトンネル、さよならの出口」トークショーが行われました。今回のトークショーでは田口智久監督が登壇されました。

・プチョン国際アニメーション映画祭特別賞受賞の感想は?
田口監督「これは予期しなかったことなので、とても嬉しく思いますし、海外の映画祭でも評価されたということが、作品として世界に通じる普遍的なテーマが作れたのかなと思っています。励みにもなりますし、嬉しく思います。」

・キャスティングも重要だったと思いますが、鈴鹿央士さんの決め手と収録の様子は?
田口監督「鈴鹿さんを塔野カオルに選んだのは、オーディションをやって、いろんな方の演技を見させてもらったのですが、本当に結構リアルタイムに演技を作っていくようなタイプの方で、そこで作っていっているカオルというのが原作にも近かったですし、自分たちが作ろうとしているアニメの演技に近かったのが一つです。また、しゃべって貰った時と演技をした時の声が凄く良かったんです。この人の声はずっと聴いてられると大きくあって、カオルがボソボソと喋られると困るので、鈴鹿さんが微妙に演技の調子をさざ波のように細かく細かく変えていって、カオルという人物を作り上げていたのは凄くハマっていたなと思います。」

・花城あんず役の飯豊まりえさんは?
田口監督「飯豊さんは一発目から上手くて、ただ上手いだけではなく、あんずというキャラクターは嫌味ったらしくなる、棘のあるキャラクターなので、演じ方によっては嫌な感じになってしまうだろうなと思って、飯豊さんの声の感じや演技や声の調子がそれをそう感じさせない。この子は普通にあんずというキャラクターをいい塩梅にしてくれるし、見てくれる。あんずの尖った部分もキッチリ表現してくれるそのバランス力と演技力で飯豊さんは決め手になりました。」

・アフレコはどんな感じで進みましたか?
田口監督「アフレコはアフレコをする前日に飯豊さんと鈴鹿さんに集まって貰って、前日に読み合わせをやって、キャラクターのディレクションをこうして欲しいとオーダーして、作って貰って本番のアフレコに臨んでもらっていて、レコーディング自体はかなりスムーズに進行していて、順序良く頭の芯からお尻の芯まで順序良く録っていて、だんだんとこの二人の関係の馴れ初めと鈴鹿さんと飯豊さんが慣れてきたのがいい具合にシンクロしていて、後半息の合った演技になって良かったなと思いました。」

・アニメーションの場合、実写でいう本読み(台本を役者同士で読み進める)をやったのは、二人に慣れて貰うとか、当日やるよりか、事前にある方が上手くいくと言う計算が合ったのでしょうか?
田口監督「飯豊さんは今までも声優経験があったのですが、鈴鹿さんについては今回が初めてだと伺っていたので、出来るだけこんな風に録るんだよというのを事前に知っておいて貰おうという所からやって、実際本番は収録は二日間でやっていたのですが、やっぱり時間がタイトなので、最初にディレクションだとか、この空間でどうやって演技をすればいいのかというところで、変につまづかれると時間がなくなるので、そういうところでの配慮と言えば配慮だったと思います。」

・ご来場の皆さんに一言。
田口監督「冒頭にもあったのですが、幸運なことにプチョン国際アニメーション映画祭で賞を頂く機会もあって、作品としても箔がついたかなと思います。東京でも公開している劇場があったりするので、ここで見て気に入って貰えたら、もう一度見て頂いて、末永く愛される作品になればなと思います。ありがとうございます。」


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映画『夏のトンネル、さよならの出口』トークショー概要
日時:2022年10月28日21:30~22:00
登壇者:田口智久(監督)、藤津亮太(モデレーター、アニメ評論家)

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