公式レポート:山田尚子監督オリジナル最新作「Garden of Remembrance」国際映画祭「Scotland Loves Animation」ワールドプレミア上映後のステージレポート& 監督コメントが到着!

監督・山田尚子のオリジナル最新作「Garden of Remembrance」がスコットランドにて開催された映画祭「Scotland Loves Animation(スコットランド・ラブズ・アニメーション)」にワールドプレミア上映として参加、上映後のステージレポートが到着。さらに、登壇後の山田尚子監督からのコメントに加え、作品設定資料の一部を初公開。


<「Garden of Remembrance」について>
「Garden of Remembrance」は、山田尚子監督のオリジナル作品で、リリースは2023年を予定。アネモネの花をテーマとして、「きみ」と「僕」と「おさななじみ」の3人の感情が揺れ動く様子を鮮麗に描いた、珠玉のハートフルショートアニメーション。アニメーション制作はTVアニメ「平家物語」でもタッグを組んだサイエンスSARUが担当、キャラクター原案は漫画家・水沢悦子(漫画「花のズボラ飯」作画担当 ほか)、音楽は『可愛くてかっこいいピチピチロックギャル』として活動するシンガーソングライター・ラブリーサマーちゃんが書き下ろす。

山田尚子はTVアニメ「けいおん!」にて2009年に監督デビューを果たした後、2016年に公開された「映画 聲の形」では同年の日本映画全体の興収ベスト10入り、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞ほか名だたる賞を多数受賞、さらにアヌシー国際アニメーション映画祭にて長編コンペティション部門入選を果たすなど業界内外共に注目を集め続ける気鋭の監督。


<「Scotland Loves Animation(スコットランド・ラブズ・アニメーション)」ワールドプレミア上映後のステージレポート到着!!さらに登壇直後の監督からのコメントも到着!>
Scotland Loves Animation(スコットランド・ラブズ・アニメーション)にて、現地時間の10月28日(金)17:50~(日本時間は10月29日(土)深夜1:50~)よりエディンバラの「Cameo Picturehouse」で開催されたワールドプレミア上映後のQ&Aセッションステージに山田尚子監督が登壇した。

Scotland Loves Animation(スコットランド・ラブズ・アニメーション)は2010年から今年で13年目を迎える日本のアニメーションに焦点を当てた映画祭で、本年度は「Garden of Remembrance」ほか、劇場アニメーション「犬王」からは湯浅政明監督が招待されるなど、注目のアニメーション監督が例年登壇を果たしている。

「Garden of Remembrance」は今年6月に開催された「アヌシー国際アニメーション映画祭」内のステージにて制作が発表、ベールが明かされた本作は山田尚子監督のオリジナル作品として国内外で高い注目を集め、満を持して今回「Scotland Loves Animation(スコットランド・ラブズ・アニメーション)」にてワールドプレミア上映を迎えた。

限定約240席の参加チケットは事前予約受付から完売、プレミア上映直後で満員の会場の熱気が高まる中で参加者の大きな拍手と歓声に迎えられQ&Aセッションステージがスタートした。

まず、この作品が企画された経緯について監督は、最初のコンセプトは「音楽とアニメーションのコラボレーション」を考えるところから始まった、と明かした。音楽を担当したラブリーサマーちゃんとはどのようにこの作品を制作していったのか、音楽とアニメーションのどちらが先に出来上がっていたのかという質問には「同時に制作していきました」と回答。本作はまず2人で出し合ったキーワードをまとめる形で監督が1つのポエムを作成、ストーリーの構造をラブリーサマーちゃんに説明するために監督がイメージとなるアニメーションを作成したとのこと。そのアニメーションを元にラブリーサマーちゃんが音楽のラフを作成、監督がアニメーション、と2人で同時に制作していった過程が明かされた。

また作品の色彩が全体的にカラフルに描かれていることについて、監督はストーリーがシリアスで見る人によっては「少し悲しい、切ない物語」であると思ったためその分アニメーションは見る人の気持ちが悲しくならないように「まるでお菓子のようなポップで可愛い色を使った」とコメント。

作品のイメージをかたどっている「アネモネの花」について、「花言葉が作品に関係しているのか」という観客からの質問に監督は、企画の当初はアネモネの花言葉が「愛」だったことにインスピレーションを受けたが、作品が完成した今となっては直接的な意味はなく、「ぼくときみのための花」だと感じている。また、使われている3色については赤が”きみ”、青が”ぼく”、紫が”おさななじみ”をそれぞれ表している、と明かしました。最後に制作秘話として、本作は監督とアニメーターたちとの間で「プロとしての作品というよりはアニメを作ることに憧れていた時を思い出して作ろう」ということを目標に制作に取り組んでいたことが語られた。


<登壇直後の山田尚子監督よりコメントが到着!>
監督:山田尚子コメント(全文)
スコットランドでのプレミア上映はとても緊張していたのですが、現地の方々にとてもあたたかく迎えて頂けてホッとしました。上映中も、みなさん真剣に観てくださっていて、たまに笑いも起こったり、いろんな反応をしていただけてうれしかったです。素晴らしいアニメーションを作ってくださったアニメスタッフと、最高の音楽を生み出してくれたラブリーサマーちゃんにたくさんの愛をお返ししたいです。


<「Garden of Remembrance」作品設定資料(キャラクター原案)を初公開!>

今回、「Scotland Loves Animation(スコットランド・ラブズ・アニメーション)」にてワールドプレミアを果たした、山田尚子監督最新作・「Garden of Remembrance」のキャラクター原案資料が初公開となった。キャラクター原案を担当した漫画家・水沢悦子(代表作・漫画「花のズボラ飯」作画担当 ほか)が手掛けた設定資料にて、「きみ」と称されたギターを手にした茶髪の少女、「ぼく」と称された少年、「おさななじみ」と称された長髪眼鏡の少女の3キャラクターの姿が描かれている。

山田尚子監督の直々の希望でキャラクター原案に抜擢されたという水沢悦子氏。山田尚子監督は水沢氏の描く女の子の魅力について6月に実施された「アヌシー国際アニメーション映画祭」内のトークステージにて「生きている女の子らしい匂いを感じる。言うならば寝起きのヨダレの匂いのような生活感のある女の子をすごくキュートに昇華して描かれている」と高く評価しており、キャラクターデザイン制作時には「とにかくムチムチにしてください」というオーダーを重ねたという話もあがっている。


<作品情報>
「Garden of Remembrance」
監督・山田尚子が描く、珠玉のハートフルショートアニメーション、2023年リリース予定。

<STAFF>
監督・脚本:山田尚子
キャラクター原案:水沢悦子
音楽:ラブリーサマーちゃん
制作:サイエンスSARU


公式サイト:
https://gor-anemone.com

ⒸGarden of Remembrance -二つの部屋と花の庭-製作委員会

ニュース:TVアニメ「神クズ☆アイドル」放送後イベントZINGSビジュアルを解禁‼ZINGS&Cgrassのスペシャルライブも実施決定!

2023年1月15日(日)に開催されるTVアニメ「神クズ☆アイドル」の放送後イベント『TVアニメ「神クズ☆アイドル」合同ファンミーティング!』のイベントビジュアルは仁淀ユウヤ&吉野カズキのアイドルユニット“ZINGS”の描きおろしイラストを使用したアイドルらしいポップなビジュアルとなっている。

また併せてイベント内容の詳細も解禁。本イベントに出演を予定している今井文也(仁淀ユウヤ役)、東山奈央(最上アサヒ役)、堀江瞬(吉野カズキ役)、寺島拓篤(瀬戸内ヒカル役)、佐藤拓也(岬チヒロ役)、小林竜之(内濱アキラ役)、石谷春貴(灘ユキナリ役)、阿座上洋平(伯方ホマレ)が本作のイベントとして初めて集結し、アニメの振り返りトークやバラエティ企画を交えつつ、作中のアイドルユニットZINGS&Cgrassによるスペシャルライブも盛り沢山で披露する超豪華ライブ&トークイベントを予定している。

本イベントの会場チケットの二次先行受付は本日10月28日(金)18時よりアニメ公式サイトにて受付開始。ここでしか見ることのできない豪華キャスト陣によるスペシャルイベントをぜひお見逃しなく。
https://kami-kuzu.com


<TVアニメ「神クズ☆アイドル」合同ファンミーティング!開催概要>
イベント名:TVアニメ「神クズ☆アイドル」合同ファンミーティング!
会場・日程:
2023年1月15日(日)ハーモニーホール座間 大ホール
昼の部:【開場】14:15 【開演】15:00
夜の部:【開場】17:15 【開演】18:00
※開場・開演時間は変更になる可能性がございます。

出演者:
今井文也(仁淀ユウヤ役)、東山奈央(最上アサヒ役)、堀江 瞬(吉野カズキ役)、寺島拓篤(瀬戸内ヒカル役)、佐藤拓也(岬チヒロ役)、小林竜之(内濱アキラ役)、石谷春貴(灘 ユキナリ役)、阿座上洋平(伯方ホマレ)
※出演者は変更になる可能性がございます。

チケット:
会場チケット:
8,800円(税込)※3歳未満入場不可 ※全席指定

公式HP2次先行:
2022年10月28日(金)18:00~2022年11月6日(日)23:59

チケット販売:
https://w.pia.jp/t/kami-kuzu-k/


公式サイト:
https://kami-kuzu.com

公式Twitter:
https://twitter.com/kamikuzu_PR

(C)いそふらぼん肘樹・一迅社/「神クズ☆アイドル」製作委員会

公式レポート:東京国際映画祭 ジャパニーズ・アニメーション部門にて上映!トークショーに黒川智之監督&佐藤大脚本登壇!日本のドメスティックな文化“団地”を描いた作品、世界へ!!今はなき阿佐ヶ谷住宅がスクリーンに蘇る!大胆な解釈の制作秘話を明かす!

都内で開催中の第35回東京国際映画祭で10月28日、現在大ヒット公開中のアニメーション映画『ぼくらのよあけ』が上映され、脚本家の佐藤大と黒川智之監督がトークイベントを行った。

全2巻の原作コミックをアニメーション映画化するにあたり、黒川監督は「原作にあるすべてのエピソードを2時間の映画に収めることは難しいので、何を守って何を削るのか、エピソードの取捨選択に時間を費やしました」と制作秘話を回想。

団地マニアのためのトークユニット・団地団メンバーでもある佐藤は、「“団地”という日本のドメスティックな文化を描きつつ、世界共通の“未来”や“宇宙”をテーマにした作品なので国際映画祭で上映されることは感激です」としながら、「原作の持ち味を変えずに、漫画を読み終えた後に感じる爽快感や多重性を映画に持たせるためにはどうすればいいのか?原作者であり団地団メンバーの今井哲也さんにも脚本チームに参加してもらい、黒川監督と3人で熟考していきました」と脚色の経緯を明かした。

佐藤曰く「阿佐ヶ谷住宅は団地の中の団地といえるほどの初期の貴重な団地」だが、2013年にすでに解体されている。それを本作の時代設定である2049年に出現させるうえで黒川監督は「外装については2049年なりのものにするか美術チームと話し合ったけれど、最終的には在りし日の阿佐ヶ谷住宅の姿のまま2049年にもあるということにしました。それが本作においては大事なポイントで、昭和の匂いがまだ残る阿佐ヶ谷住宅として再現しました」とこだわりを持ってデザインしたという。

そして佐藤は「原作ではコミックスが発売された当時の2011年を舞台に(本作の主人公である)悠真の親世代たちが“二月の黎明号”と出会う設定となっているので、映画では2022年に出会わなければ原作の味を損ねてしまう」とコミックスから時代設定を変えたことを明らかにし、「(2013年に解体された)阿佐ヶ谷住宅が2022年にあるなら、本作のメインの舞台になる2049年にあってもいいだろうと大胆な嘘をついたわけです」と更なる制作秘話も語った!

悠真家のお手伝いロボット・ナナコの可愛いビジュアルも話題の本作。黒川監督はデザインについて「今のロボット技術の延長線上にあるリアル感と、親しみを抱ける柔らかいデザインとしてアニメーションに落とし込みました」と紹介。佐藤もナナコを本作の見どころに挙げて「最初は悠真の目線で映画を観る方も多いと思うけれど、再度観る際にはナナコがいつから悠真に嘘をついていたのか、いつからお父さんとお母さんに話をしたのか?そんな点に注目して観ると、ワンカットしかないシーンの意味がグッと変わってくる。ナナコと二月の黎明号がいつお父さん世代にアプローチしていたのかなど、原作を読んだうえでナナコと二月の黎明号の動きを見てもらえたら嬉しい」とアピールした。

黒川監督も、再度『ぼくらのよあけ』を観ていただける際には「悠真がナナコをどのように呼んでいるのかをストーリーを追いながら観ていただくと、その変化がわかっていただけるはずです。また全体の話や各キャラクターのパーソナリティーを理解した上で、女子側のストーリーやその関係性、お姉さんと弟などの周りのキャラクターの物語やそれぞれの感情の起伏に注目してもらえたら」と呼び掛けていた。


<映画『ぼくらのよあけ』 TIFFトークショー黒川監督&佐藤大(脚本)登壇 概要>
実施日時:10月28日(金)
会場:TOHOシネマズ スクリーン1
登壇者:黒川智之(監督)、佐藤大(脚本)

(c)今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会

ニュース:劇場アニメ「テンカウント」2023年公開決定&ティザービジュアル公開!立花慎之介、前野智昭らキャスト決定!原作宝井理人コメントも到着!

宝井理人によるシリーズ累計発行部数280万部を超える人気コミック「テンカウント」が劇場アニメ化され、2023年に公開されることが決定した。合わせて、無愛想なカウンセラーの黒瀬陸と、潔癖症の社長秘書の城谷忠臣がカフェの前にいるティザービジュアル公開された。

さらに、キャストは、ドラマCD版と同じく、城谷役は立花慎之介、黒瀬役は前野智昭が担当し、アニメーション制作はイーストフィッシュスタジオ×SynergySP、監督は外山草が担当することが決定した。

また、今回の劇場アニメ化決定について、宝井理人は「こうしてアニメ化についてのコメントをさせて頂くことが感慨深く、またひとつの区切りを迎えられたことがとても嬉しいです。」とコメントを寄せている。

「テンカウント」は、潔癖症の社長秘書・城谷が偶然出会ったカウンセラーの黒瀬から、潔癖症を克服するための個人的なカウンセリングを受け、10項目を1つずつクリアする療法を進めるうち、次第に二人の距離が縮まっていく様子を描く、センシティブな恋の物語。原作は、新書館より全6巻発売中。


<スタッフキャストコメント>
・宝井理人(原作)
こうしてアニメ化についてのコメントをさせて頂くことが感慨深く、またひとつの区切りを迎えられたことがとても嬉しいです。監督、スタッフの皆様、そして待っていてくださった読者の皆様に心からお礼を申し上げます。ありがとうございます!私も一視聴者として完成を心待ちにしています。

・外山草(監督)
この閉塞感ーー、この息苦しさーー、そんな思いの日々。コロナ禍というだけではなく、多様性のある時代を。と、あちこちで叫ばれながらも一向に自由が得られないままの生活。多数派基準の同調意識で象られた社会性の強要。窮屈な普段着として身に着けているマスクはいつしか心にも着け、解放を求めるより認めることで他人との距離をうまくとり孤独を強めていく。そんなこの時代に、知的で刺激的なこの宝井作品をスクリーンに映し出そうという試みは大胆である以上に必然なのでしょう。主人公ふたりが置かれている場所は現在を生きる我々とリンクします。すぐ隣にいてもおかしくないふたり(また自分自身であったり)。ふたりの出逢いの物語は我々をどうカウンセリングしてくれるのか。平凡で凡庸な自分が挑むにはあまりにも偉大(であり美麗)な作品ですが、映画館を出た時に、笑顔でまたふたりに会いに行きたくなる、そんな映像作品を目指してーー。

・立花慎之介(城谷忠臣役)
劇場アニメ「テンカウント」本当におめでとうございます!ドラマCDが終わって月日が経ちましたが、まさかこんな大きな展開で帰ってくるとは夢にも思っていなかったのでお話をいただいた時にはかなりビックリしましたし、繊細でかわいい城谷くんをまた演じられて、とてもとても嬉しいです!!劇場版ならではのクオリティを僕も今から楽しみにしているので、皆さんも原作やドラマCDをもう一度読み直して聞き直してしっかり劇場版に備えていてくださいね!!

・前野智昭(黒瀬 陸役)
制作決定のお話を伺った時からずっと楽しみにしていました。心理描写や背景が繊細な作品なので、ドラマCDの収録の際も独特の間や呼吸を意識したのですが、アニメ版ならではの難しさも多々ありました。特に黒瀬は喋り方が独特なので、その辺りはスタッフの皆さんと相談させて頂きながら、とても丁寧にアフレコさせて頂きました。城谷役の立花さんともしっかり掛け合いをさせて頂きましたし、長く携わらせて頂いている「テンカウント」を、また違った形で皆さんにお届けできることが本当に嬉しいです。ぜひ、原作やドラマCDと併せまして、アニメ版も楽しんで頂ければと思います。よろしくお願いします。


<スタッフ>
原作:宝井理人『テンカウント』(新書館ディアプラス・コミックス刊)
監督・脚本:外山草
キャラクターデザイン:島崎知美
アニメーション制作:イーストフィッシュスタジオ×SynergySP
配給:ポニーキャニオン
製作:テンカウント製作委員会

<キャスト>
城谷忠臣(しろたに ただおみ):立花慎之介
黒瀬 陸(くろせ りく):前野智昭


劇場アニメ「テンカウント」公式HP:
https://10count-anime.com/

劇場アニメ「テンカウント」公式Twitter:
https://twitter.com/10count_anime

Ⓒ宝井理人・新書館/テンカウント製作委員会

レポート:第35回東京国際映画祭・映画「ぼくらのよあけ」トークショーレポート

2022年10月28日、東京・日比谷にあるTOHOシネマズ シャンテにおいて、第35回東京国際映画祭・映画「ぼくらのよあけ」トークショーが行われました。今回のトークショーは、作品上映後に行われました。

今回のトークショーでは、黒川智之監督と脚本の佐藤大さんが登壇されました。

最初に原作を読まれた時の、映画にする際のアプローチについては、黒川監督は「『ぼくらのよあけ』の漫画が2冊とコンパクトでしたが、何を守って、切り捨てていくかのエピソードの整理に時間を費やしました。」と原作は巻数は少ないものの、内容が濃密だったので、2時間の映画だったが、どこを取捨選択するかに悩まれたそうです。

佐藤さんは「監督ともその話をした上で、どう絞り込むには元々原作が持っている多重性や様々な視点がかなり複雑に入り組んでいて、簡単にこのキャラクター抜けば良いとか、このエピソードを抜けばいいとかそうすると、話が崩れてしまいます。監督とプロットを煮詰めていく段階で分かってきたので、味を変えずに漫画を読み終わったような爽快感だったり、複雑さをちゃんと多重的に時間をかけて話しました。原作者の今井さんには脚本チームに参加して頂き、熟考して3人で決断をしました。」と物語の深さをどう紐解いて、改めて映画として作り上げるかに腐心されたそうです。

「(黒川監督は)映画としては初作品ですが、どういう風に映画というメディアと向き合おうとしたか。キャラクターデザインも原作と映画で変える判断は?」についての質問では、黒川監督は「デザインの候補は色々出して、結果としてpomodorosaさんにお願いをしました。初々しさや青春の色使いだったり、鮮やかな部分もpomodorosaさんのイラストに繊細に描かれていたので、絵の魅力が作品に合うのではないかと思いました。」と、話し、キャラクターだけではなく、コンセプトデザインもお願いしたそうです。

「未来の世界としてナナコの描き方」については、黒川監督は「ナナコが悠真とどういう関係値になっていて、二人の関係が最終的にどういう風になっていくのか、この作品の肝だなと思ったので、ナナコと悠真の関係値の描き方もシナリオの段階でも『最初に押さえよう。』と言うことで、そこから原作のナナコと悠真をセンターにして、他のキャラクターたちが影響していくか、整理していきました。悠真がナナコをどう呼ぶかもシナリオでも仕掛けをして頂いていて、二人の距離感を表現出来たらいいなと思っていたので、脚本に入れていただきました。」と悠真とナナコの距離感の変化も気にして欲しいと話していました。

「お客さんに再び見て貰えるとここが面白いと思うお勧めの所は?」については、佐藤さんは「僕はナナコです。最初の視線は悠真の目線なのですが、ナナコがいつ特異点を超えたのか、いつから悠真に嘘をついていたのか、いつからお父さんとお母さんにどういう感じで話をしていたのかを見ると、1カットずつのシーンの意味がぐっと変わってきて、ナナコ=黎明も同じなのですが、彼らがお父さん世代にいつアプローチして、どういう感じになっていたのかを原作を読んだ上で、ナナコと黎明の二人の動きを見て欲しいです。」とナナコの変化に注目して欲しいということや、黒川監督は「悠真がナナコをどういう風に呼んでいるかとストーリーを追っかけながら見て貰えると、ここでこういう変化があったのだなというのと、映画を見て各キャラクターのパーソナリティが分かった上で見て貰えると、女性側の花香やわこの話の関係性や、わこと真悟の周りのキャラクターの感情の起伏も見て欲しいです。」と悠真の心の変化や、女性キャラクターの立ち位置にも注目して欲しいと話をされ、トークショーが終了しました。


キャスト︓杉咲 花(沢渡悠真役)、悠⽊ 碧(ナナコ役)、藤原夏海(岸真悟役)、岡本信彦(⽥所銀之介役)、⽔瀬いのり(河合花⾹役)、⼾松 遥(岸わこ役)、花澤⾹菜(沢渡はるか役)、細⾕佳正(沢渡遼役)、津⽥健次郎(河合義達役)、横澤夏⼦(岸みふゆ役)、朴 璐美(⼆⽉の黎明号役)
原作︓今井哲也 「ぼくらのよあけ」(講談社「⽉刊アフタヌーン」刊)
監督︓⿊川智之 脚本︓佐藤 ⼤ アニメーションキャラクター原案・コンセプトデザイン︓pomodorosa
アニメーションキャラクターデザイン・総作画監督︓吉⽥隆彦 虹の根デザイン︓みっちぇ ⾳楽︓横⼭ 克 アニメーション制作︓ゼロジー
配給︓ギャガ/エイベックス・ピクチャーズ


公式サイト︓
https://bokuranoyoake.com

公式Twitter︓
https://twitter.com/bokura_no_yoake


映画『ぼくらのよあけ』トークショー概要
日時:2022年10月28日19:00~19:30
登壇者︓⿊川智之(監督)、佐藤大(脚本)、藤津亮太(モデレーター、アニメ評論家)

(c)今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会