レポート:フリクリとは何か?「フリクリを探す。」のがフリクリ?!劇場版「フリクリ オルタナ」初日舞台挨拶レポート

2018年9月7日、東京・上野にあるTOHOシネマズ上野にて、劇場版「フリクリ オルタナ」の初日舞台挨拶が行われました。舞台挨拶では、ハルハラ・ハル子役の新谷真弓さん、監督の上村泰さんが登壇されました。

最初に司会の方から、劇場版「フリクリ オルタナ」について、上村監督へ作品のテーマや意気込みについての質問がされ、この作品を作るに当たって「フリクリとは何か?」から始まって、様々な意見が出たそうです。その中で、「僕のフリクリはこうだ!」と言う熱い思いが方向性を作って、今回のオルタナは前作(OVA)のセンチメンタルで繊細な部分を描かれたそうです。

劇場版「フリクリ オルタナ」では、脚本の段階から上村監督とハル子役の新谷さんの間でやりとりがあったそうで、上村監督は雲を上を掴む感じで作業をされていたそうですが、上村監督が新谷さんに「ハル子はどうするんですかね?」と話をした際に、新谷さんも「分からない。」と回答されたそうです。

新谷さんも役者側から意見をするのはおこがましいと思われたそうですが、「ハル子という人は、前のハル子と同じ人なんですか?」と思ったそうで、今回の「フリクリ」がプライベートムービーに対抗するには、上村監督のプライベートムービーとして、やりたいことを詰め込んだハル子で良いのでは無いかと話をされたそうです。

今回のフリクリでは、「女子高生とハル子」と言う事で、新しいハル子像を脚本の時に新谷さんに一度監修して貰って、絵コンテの段階で、演じるならこういう感じが良いのではないかと話したり、アフレコでもアドリブを入れたそうです。

新谷さんは今回の舞台挨拶にあたって、劇場版のパンフレットを見た際にスーパーバイザーの鶴巻さんのメッセージで「フリクリとは何か?」について「僕も分かりません」という感じで答えていて、新谷さんは「フリクリを探す。」というのが答えではないかと思われたそうです。

センチメンタルだったり、青春というキーワードが出ましたが、劇場版「フリクリ オルタナ」の魅力については、上村監督は「青春映画でセンチメンタルな所を掘り下げた。」そうです。しかし、それだけでは無く、掘り下げたところが「フリクリ」らしさと話していました。「上村監督は女子高生を描きたかったのでは?」という新谷さんの上村監督への質問に対しては、上村監督も女子高生は描きたかった部分だったと話しつつも、「男性なのでモヤモヤしている所は普遍的かな」と話していました。

「フリクリ プログレ」は中学生の話、「フリクリ」は小学生の話、という事で、「フリクリ オルタナ」は高校生だが、今回描いたのはたまたま女子高生だったそうです。「女子高生の描き方が、男性の理想像ではなく、生々しいというか、等身大だった。」という、司会の方からの質問に対しては、上村監督はあまり記号的にはしたくなかったそうで、上村監督の理想像は、「好きな女子高生はアイドルになってしまう」という事で、「僕の描きたいものと違う。等身大の人間として描きたい。」という事で、実際に女子高生の声を聞いて「フリクリ オルタナ」を作ったそうです。

「フリクリ オルタナ」では、会話がかみ合わないという表現がありましたが、アニメとしてはセリフがかぶるのは作りにくく、手間がかかる部分ではあったが、「本当の会話はかぶってかぶってだと思うので、そうういう所を大切にして描きたかった。」そうです。記号的になるが、明るいが本当は裏で凄く悩んでいるという所を上村監督は描きたかったそうです。

女子高生とのN.O.を開かせるにあたって、新谷さんは「ハル子的なアプローチをしたのか?」という質問については、新谷さんは「N.O.を開かせないといけないので、男の子に関して開かせるのと女子高生の恋している普通の女の子を開かせるというのはアプローチが全く違う。」と考え、力技や色仕掛けなどの刺激的なのではなく、女同士の駆け引きを考えて演じられたそうです。

女性対女性という事や、ハル子は性格上強さも上と言う事で、「上からとか乱暴とか刺激的にも出来たと思うが、それをやると今回の話とは違うのかな。」と思われたそうです。とにかく、いろいろなアイディアを出して演技を行ったそうです。OVAのフリクリに出ていたマミ美との感じに近いと話していました。

作品の中で印象に残っているシーンについては、上村監督は好きなセリフとして、神田束太の「いつまでも、そんなのあるわけないの分かっているだろ。」という感じのセリフがあって、作っている間にジワジワ監督の中の気持ちに響いてきて、上村監督がガイナックスに入った当時を思い出し、ガイナックスに入った当時は楽しかったそうで、「あの時のあの瞬間のあのガイナックスはあの時しか無い。」と監督になった時にも思われ、作品を作り終わった時も感じられたそうです。

最後に、新谷さんと上村監督からのコメントで、新谷さんからは「フリクリという作品を長く愛して下さっている皆さんには本当に本当に感謝の気持ちで一杯です。関わっている一人として本当に、今日来ていただいて、ありがとうございます。また、これからどういう展開があるか分かりませんが、好きな気持ちを持ってくれたら嬉しいです。」、上村監督から「今回はオルタナが上映されましたが、この後プログレも上映されます。僕はプログレの制作には関わっていませんが、プログレの方を意識しながらオルタナを作っていたので、是非プログレも一緒に見て頂いて、自分の中のフリクリを探してくれればと思います。」とコメントされ、イベントが終了しました。


劇場版「フリクリ オルタナ」9月7日(金)絶賛公開中
劇場版「フリクリ プログレ」9月28日(金)公開


公式HP:
http://flcl-anime.com

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